掃除機496方式(英語名:HAL496 Systems)による英語などの学習方法を提唱するブログです。英文に関して、解説・対訳などの掲載を中心としています。訳し方は、そのときの状況によるので、直訳っぽいのもあったりします。転載及び2次使用可。(C) no rights reserved / aucun droits réservés / keine Rechte vorbehalten / 著作権全面放棄

10.02.2008

掃除機496方式とは On HAL496 Systems

掃除機496方式(HAL496 Systems)とは
掃除機496方式(HAL496 Systems)とは、HAL496 (RATIONIS HEURISTICO-ALGORITHMICAE496)(←ウェブサイトにリンクしてます)が行なっている語学・その他の指導方法です。

以下の方法が有効であろうと考えた方は、どしどし採用してみてください。実際、おそろしく有効な指導方法です。ちなみに、日本の国内法では、「教育における教え方・説明方法」と「調理方法」には特許が発生しないはずなので、だれが、いつ、どのように活用してもかまいません。むしろ、個人的には教育と医療に関しては特許を全面的に認めるのはまずいのではないかと考えているくらいです。また、文法理論が異なる場合は、それに応じて、個人なり、団体なりで、アレンジしてください。この方式を部分的にでも採用なさる場合には、できれば、メールでご一報いただければ幸いです。また、「こうしたほうがもっとよい」というアイデアがあれば、お伝えいただければ幸いです。採用する場合には、「掃除機496方式」「Based on HAL496 Systems」「Inspired by HAL496 Systems」などと、プリントの隅にでも印刷していただければ、うれしいんですけど、まあ、しなくてもいいです。

掃除機496方式とは、まるで強力な吸引力でどんどん吸い込みつづけるDYSON DC22という掃除機をイメージした命名です。それに、韻をちゃんと踏んでいるところがいいでしょ? また、HAL496とは掃除機496方式で授業を行なう予備校の名称です。最初は、「ダイソンDC22方式」というのにしようかとも考えたのですが、「わが社の製品の高性能ぶりを利用している」とクレームをつけられると困るので、やめておきました。また、企業のネーミングのパターンとしては、(1)人名をつける(例:本田技研工業←創業者の故本田宗一郎さんのご自宅が近くにあります)、(2)地名をつける(例:徳島製粉←なぜか、これが最初に浮かんだ)などが挙げられますが、個人名をつけるほどの大したアイデアではないし、地名となると「練馬方式」「豊玉北1丁目方式」などとなってしまい、これには、なんだか、抵抗を感じてしまいます。さらに詳しく「東京都練馬区豊玉北1丁目108号都営大江戸線新江古田駅徒歩2分方式」とすると、なかなか憶えられません。私自身、番地を確認したくらいです。

さて、語学の上級者ともなると、多少は辞書を引く必要はありますが(ただし、最上級者となると、文脈と語源などの知識を活用して、辞書なしで意味が確定できなくてはなりませんし、用例を集めて、そこから意味を考え、いわば辞書を作る能力もなくてはなりません)、初級レベル・中級レベルの場合は、まずは必要な語彙をインプットし、例文を多く憶える必要があります。しかし、単語だけを憶えるのは効率が悪く、一文ごとの例文を憶えていくのは、地頭のよい人だと飽きてしまいます(「飽きてしまう人」が「地頭のよい人」とはかぎりません、為念(ねんのため))。まとまりのある内容のものを暗唱するのがよいかと思われます。

長期記憶のためには、英文と訳の印刷したものを読むだけでは効率が悪いので、まずは自力で訳してもらいます。ただし、文法事項がわからなかったり、単語がわからなかったりしたら、効率よくは訳せません。そこで、単語の意味や文法上の解説をつけたプリントを見ながら、自分で訳してもらいます(もっとも、自分で訳す学力がない場合は、対訳を渡して、細かく説明します)。勉強というものは、「自分の頭」を使わないと身につかないものです。辞書を引く手間が大幅に省ける分だけ、効率がよくなります。

英文には、色をつけることと、括弧や下線を利用して、文の構造が、視覚的・直観的に理解できるようにします。このブログの対訳などで、その効果はわかるかと思います。従来から、スラッシュリーディングといって、意味のまとまりごとにスラッシュ(/)を入れる方法がありますが、色・括弧・下線つきの英文のほうが処理速度は速いようです。比較してみましょう。

スラッシュリーディングの例
He said / many people in other Asian countries / suffered greatly / during World War II.
彼は言った/ほかのアジア諸国の多くの人々は/大いに苦しんだ/第2次世界大戦中に

掃除機496方式(HAL496 Systems)の場合
He said [many people in other Asian countries suffered greatly during World War II].

スラッシュリーディングは、意味のまとまりを示すだけですが、掃除機496方式(HAL496 Systems)の場合は、品詞や文の成分を色彩によって提示するので、読解速度が速くなります。スラッシュリーディングは、そもそも、同時通訳をするためのノウハウであって、高度な英文読解のために編み出された手法ではありません。同時通訳のためのノウハウということは、口語・会話を理解するためのノウハウなので、本当に高度で複雑な英文となったときには、さほど役に立たないのではないでしょうか? もちろん、掃除機496方式(HAL496 Systems)が登場するまでは最善の手法のひとつであったことは認めますが。

似たような事例として、中高一貫校、とりわけミッション系で使用されているPROGRESS IN ENGLISHならびに改訂後のPROGRESS IN ENGLISH 21という教科書の教授方法は、もともとは、スペイン語を話す人が英語を習得するために開発された方法なので、日本人にはさほど向いていないと考えています(HAL496ではPROGRESS 21の指導もしてますが)。

掃除機496方式(HAL496 Systems)が、とりわけ優れているのは、言語系統が近い言語同士の対訳においてです。『星の王子さま』Le Petit Princeの原文と英訳を並べてみてみましょう。英訳は、定番のKatherine Woodsによるものではなく、Richard Howardによるものです。

Jai une autre excuse : cette grande personne peut tout comprendre, même les livres pour enfants.
I have another excuse: this grown-up can understand everything, even books for children.
もう1つ理由がある。この大人はすべてを理解することができるし、子どものための本でさえ理解できるのである。

対応関係が一目瞭然です。comprendreの目的語tout (=all)が動詞の前に置かれているということと、les livresとフランス語では定冠詞がついているのに、英語では冠詞をつけずに用いることが、簡単にわかります(ちなみに、英語でtheをつけるべきかどうかで悩むとき、フランス語やイタリア語ではほぼ必ず定冠詞をつけます)。

Jai une troisième excuse : cette grande personne habite la France { elle a faim et froid}.
I have a third excuse: he lives in France {where he is hungry and cold}.
3番目の理由がある。その大人はフランスに住んでいて、そこで彼は飢えて、凍えている。

▼英語のliveとちがって、フランス語ではhabiterは他動詞だということが見て取れます。また、フランス語を始めたばかりの人でも、「飢えている」「凍えている」は、フランス語では「…を持つ」という言い方をするということがわかります。また、男性を指していても、personneは女性名詞なので、代名詞ではelle(彼女)で受けるということもわかります。

HAL496のウェブサイトでは、大学受験後、1か月で、難関大学で学ぶフランス語1年分を学習し終えた事例を紹介していますが、すべてのフランス語に、英語の直訳と自然な英訳とを掲載しているからです、それも色つきで。

この方法、つまり、フランス語の学習において、英語を介在させる方法は非常に効果的なのですが、日本のフランス語教師は、どういうわけか、英語を使って説明することはあまりしません。たまに「英語でいうと、……にあたる表現である」ということを言うくらいですが、厳密にいうと正しくないときもなくはありません。

英語を介在してフランス語を説明したのは、『英語がわかればフランス語はできる』を著した久松健一くらいしかいないようです。しかし、これは、定番といえるような構文で似ているものを並べているだけでしかありません。もちろん、初学者にとっては非常に便利なものであり、日本におけるフランス語教育では先進的なものです。しかしながら、その先のレベルとなると、寡聞にして英語を介在させた教材を知りません。

どうして、英語を介在させてフランス語を教えるという、これほど簡単な学習法をフランス語教師がやっていないのか、不思議だったのですが、どうやら、日本人のフランス語教師は英語がそれほど得意ではないからであるらしいです。

つぎに、暗唱できるようにする方法です。これまでは、暗記の苦手な人は、ひたすら100回以上、音読するなどしているようです。音読には、脳の血流を促すなど、頭によい働きもありますが、そればかりを繰り返すというのは、単純すぎて、飽きてしまいます。「書いて憶える」というのも手が疲れてしまいます。

そこで登場するのが、空所補充プリントと語順整序プリントです。色をつけたまま、空所を作成するので、下線の色もヒントになります。下線が青色ならば、補語が入るということがわかり、候補となる単語群から青い単語を探します。また、単語の文字数に応じて下線の長さを変えていますから、わからないときには、それもヒントに使えます。単語の綴りが曖昧な場合には、候補として並べた単語群から当該の単語を探し出し、綴りを確かめることができます。このようにして、プリントをこなしていくうちに、自然と憶えられてしまいます。これまでに観察した結果、従来の5分の1から10分の1の時間で暗唱できるようになるようです。

空所補充・語順整序の例は、当初のCROWN English Series II (New Edition) Lesson 1 Black Sheep and Silver SpoonsLesson 2 Dreamtime以外にもいくつか掲載してありますが、「ブログ検索」またはarchiveで探してください。リクエストがあれば、当該のものを掲載します。ただし、「残り全部」というリクエストはやめてください。また、未作成のものは、時間のあるときに作成するので、今すぐに対応できないものもあります。

英文がなかなか暗唱できるようにならないという人は、まず、1度、お試しください。パズルを解いたりするのが好きな人には、特に、うってつけの教材です。未掲載の作成済みのプリントについては、メールで連絡していただければ、無償で添付ファイルとして配布しています。高校用の教科書CROWNのほかには、中学生用の教科書では、New CrownNew Horizonなどもあります。添付ファイルで配布しているもののほうが、レイアウトなどがいくぶん充実しています。

以上の方法が語学教育としては最適だと考えているのですが、いかんせん、手作業でしかできないので、あまり、大量のプリントを作成することはできません。

ヒューレット=パッカード(HPに勤めている人物が、HAL496で作成しているプリントは、コンピュータのプログラミングで自動的に変換するのが可能だと教えてくれたのですが、試算してみたり、問い合わせてみたりしたのですが、とてもじゃないが出せる金額ではなかったので、諦めました。
うーん、どうしたらいいんだろうな。

たとえば、Googleが、うちで作成しているプリントのようなものに英文を自動的に変換するソフトウェアを作ってくれたらいいなと思っています。Googleだったら、無償でそうしたソフトウェアをウェブ上で提供してくれると思うのですが。しかし、Googleに提案する方法を調べてみたのですが、Gmailのサービスを行なっているのに、Google宛のGmailアドレスが見つかりません。住所と電話番号とFAX番号はわかったのですが。時間のあるときに、郵便で提案するとしよう(いつになるかわからないけど)。
そうしたものができれば、予備校の経営が成り立たなくなるのではないかと思った人がいるかもしれませんが、大丈夫です。HAL496はそれ以上のことができるところですから、別に困らないでしょう。中心となる授業内容が変わるだけにすぎないでしょう。また、註や解説は以前と変わらず入力しなければならないので、それほど影響はないでしょう。しかし、そんなことよりも、だれもが、今までよりも楽に語学の勉強ができるようになることのほうが、もっと大切です。

問題点
掃除機496方式(HAL496 Systems)にも問題点はあります。
まず、カラーインクが決して安価ではないので、コストがかさむことです。この点に関しては、世界一のプリンタ=メーカーであるヒューレット=パッカード(HPなどが、教育用には格安で提供してくれはしないかと考えています。パソコンの画面で読む分には、コストはかかりませんが。

つぎに、すでに述べたことですが、手作業でしか作成できないので、短期間に大量に作成できないということです。色をつける作業は、本当に、地味な作業です。

歴史
英文に色をつけるようになったのは、ある生徒の入学がきっかけでした。日本語にも、やや問題のある生徒が英語を学べるようにするにはどうすればよいかというのが課題でした。「主語」や「動詞」の概念を言語で伝えるのがきわめて困難でした。そもそも、日本語自体もあまり通じないようでした。
そこで、自分自身には英文がどのように見えているのかを詳細に検討し、それを「部分的にでも視覚化できないものか」と考えました。うまく言えないのですが、実際には、私自身には、3重か4重の立体感のある構造が見えています。それを完全には再現できないので、その一部でも、視覚化してみることにしました。

それで、まずは、英文に、主語・動詞・目的語・補語・前置詞などに色鉛筆で下線を施しました。そうすることで、その生徒は問題集の練習問題がなんとか解けるようになりました。

そして、毎回毎回、色鉛筆で下線をつけていると、その手間をどうにかして省けないかと考えるようになりました。そうしたときに、たまたまGoogleで検索をしていました。Googleという文字列を見ているときに、はたと気がつきました。

そうだ! パンがなければケーキを食べればよいのと同じで、テキストに色鉛筆で下線をつけるのが面倒ならば、初めから、色つきの教材を作ればよいということに気づいたのです(ここ、「喩(たと)えがおかしい!」ってつっこむところ)。Yahoo!Japanという1色だけのタイトルのところで検索をしていたならば、このことに気づくのが、少なくとも2日は遅れていたでしょう(「たったの2日かよ!」ってつっこむところ)。

もともと、空所補充や語順整序のプリントは作成していました。暗記の苦手な生徒でも、がんばればなんとか憶えられていました。そうしたプリント類をモノクロからカラーへと変えてみたところ、暗記がすこぶる苦手な生徒でも楽に憶えられるようになりました。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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